○公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針
(平成二十六年十月二十二日)
(/総務省/財務省/国土交通省/告示第一号)
公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(平成十二年法律第百二十七号)第十五条第一項の規定に基づき、公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針(平成十三年総務省・財務省・国土交通省告示第一号)の一部を次のように変更したので、同条第七項において準用する同条第六項の規定に基づき、公表する。
公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針
国は、公共工事に対する国民の信頼の確保とこれを請け負う建設業の健全な発達を図るため、公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針(以下「適正化指針」という。)を次のように定め、これに従い、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(平成12年法律第127号。以下「法」という。)に規定する各省各庁の長、特殊法人等の代表者又は地方公共団体の長(以下「各省各庁の長等」という。)は、公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置を講ずるよう努めるものとする。
なお、法第2条第1項に規定する特殊法人等(以下「特殊法人等」という。)は、その主たる業務を遂行するため建設工事を発注することが業務規定から見て明らかであり、かつ、当該主たる業務に係る建設工事の発注を近年実際に行っているものとして公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律施行令(平成13年政令第34号。以下「令」という。)第1条に定められているものであるが、適正化指針に定める措置が的確に講じられるよう、所管する大臣は当該特殊法人等を適切に監督するとともに、特殊法人等以外の法人が発注する建設工事についても入札及び契約の適正化を図る観点から、当該法人を所管する大臣又は地方公共団体の長は、法の趣旨を踏まえ、法及び適正化指針の内容に沿った取組を要請するものとする。
第1 適正化指針の基本的考え方
公共工事は、その多くが経済活動や国民生活の基盤となる社会資本の整備を行うものであり、その入札及び契約に関していやしくも国民の疑惑を招くことのないようにするとともに、適正な施工を確保し、良質な社会資本の整備が効率的に推進されるようにすることが求められる。公共工事の受注者の選定や工事の施工に関して不正行為が行われれば、公共工事に対する国民の信頼が大きく揺らぐとともに、不良・不適格業者が介在し、公共工事を請け負う建設業の健全な発達にも悪影響を与えかねない。
公共工事に対する国民の信頼は、公共工事の入札及び契約の適正化が各省各庁の長等を通じて統一的、整合的に行われることによって初めて確保しうるものである。また、公共工事の発注は、国、特殊法人等及び地方公共団体といった様々な主体によって行われているが、その受注者はいずれも建設業者(建設業を営む者を含む。以下同じ。)であって、公共工事に係る不正行為の防止に関する建設業者の意識の確立と建設業の健全な発達を図る上では、各発注者が統一的、整合的に入札及び契約の適正化を図っていくことが不可欠である。適正化指針は、こうした考え方の下に、法第17条第1項の規定に基づき、各省各庁の長等が統一的、整合的に公共工事の入札及び契約の適正化を図るため取り組むべきガイドラインとして定められるものである。
各省各庁の長等は、公共工事の目的物である社会資本等が確実に効用を発揮するよう公共工事の品質を将来にわたって確保すること、限られた財源を効率的に活用し適正な価格で公共工事を実施すること、受注者の選定等適正な手続により公共工事を実施することを責務として負っており、こうした責務を的確に果たしていくためには、価格と品質で総合的に優れた調達が公正・透明で競争性の高い方式により実現されるよう、各省各庁の長等が一体となって入札及び契約の適正化に取り組むことが不可欠である。
法第3条各号に掲げる、(1)入札及び契約の過程並びに契約の内容の透明性の確保、(2)入札に参加しようとし、又は契約の相手方になろうとする者の間の公正な競争の促進、(3)入札及び契約からの談合その他の不正行為の排除の徹底、(4)その請負代金の額によっては公共工事の適正な施工が通常見込まれない契約の締結(以下「ダンピング受注」という。)の防止、(5)契約された公共工事の適正な施工の確保は、いずれも、各省各庁の長等がこれらの責務を踏まえた上で一体となって取り組むべき入札及び契約の適正化の基本原則を明らかにしたものであり、法第17条に定めるとおり、適正化指針は、この基本原則に従って定められるものである。
第2 入札及び契約の適正化を図るための措置
1 主として入札及び契約の過程並びに契約の内容の透明性の確保に関する事項
(1) 入札及び契約の過程並びに契約の内容に関する情報の公表に関すること
入札及び契約に関する透明性の確保は、公共工事の入札及び契約に関し不正行為の防止を図るとともに、国民に対してそれが適正に行われていることを明らかにする上で不可欠であることから、入札及び契約に係る情報については、公表することを基本とし、法第2章に定めるもののほか、次に掲げるものに該当するものがある場合(ロに掲げるものにあっては、事後の契約において予定価格を類推させるおそれがないと認められる場合又は各省各庁の長等の事務若しくは事業に支障を生じるおそれがないと認められる場合に限る。)においては、それについて公表することとする。この場合、各省各庁の長等において、法第2章に定める情報の公表に準じた方法で行うものとする。なお、公表の時期については、令第4条第2項及び第7条第2項において個別の入札及び契約に関する事項は、契約を締結した後、遅滞なく、公表することを原則としていることを踏まえ、適切に行うこととする。
イ 競争参加者の経営状況及び施工能力に関する評点並びに工事成績その他の各発注者による評点並びにこれらの合計点数並びに当該合計点数に応じた競争参加者の順位並びに各発注者が等級区分を定めた場合における区分の基準
ロ 予定価格及びその積算内訳
ハ 低入札価格調査の基準価格及び最低制限価格を定めた場合における当該価格
ニ 低入札価格調査の要領及び結果の概要
ホ 公募型指名競争入札を行った場合における当該競争に参加しようとした者の商号又は名称並びに当該競争入札で指名されなかった者の商号又は名称及びその者を指名しなかった理由
ヘ 入札及び契約の過程並びに契約の内容について意見の具申等を行う第三者からなる機関に係る任務、委員構成、運営方法その他の当該機関の設置及び運営に関すること並びに当該機関において行った審議に係る議事の概要
ト 入札及び契約に関する苦情の申出の窓口及び申し出られた苦情の処理手続その他の苦情処理の方策に関すること並びに苦情を申し出た者の名称、苦情の内容及びその処理の結果
チ 指名停止(一般競争入札において一定期間入札参加を認めない措置を含む。以下同じ。)を受けた者の商号又は名称並びに指名停止の期間及び理由
リ 工事の監督・検査に関する基準
ヌ 工事の技術検査に関する要領
ル 工事の成績の評定要領
ヲ 談合情報を得た場合等の取扱要領
ワ 施工体制の把握のための要領
(2) 入札及び契約の過程並びに契約の内容について学識経験を有する者等の第三者の意見を適切に反映する方策に関すること
入札及び契約の過程並びに契約の内容の透明性を確保するためには、第三者の監視を受けることが有効であることから、各省各庁の長等は、競争参加資格の設定・確認、指名及び落札者決定の経緯等について定期的に報告を徴収し、その内容の審査及び意見の具申等ができる入札監視委員会等の第三者機関の活用その他の学識経験者等の第三者の意見を適切に反映する方策を講ずるものとする。
第三者機関の構成員については、その趣旨を勘案し、中立・公正の立場で客観的に入札及び契約についての審査その他の事務を適切に行うことができる学識経験等を有する者とするものとする。
第三者機関においては、各々の各省各庁の長等が発注した公共工事に関し、次に掲げる事務を行うものとする。
イ 入札及び契約手続の運用状況等について報告を受けること。
ロ 当該第三者機関又はその構成員が抽出し、又は指定した公共工事に関し、一般競争参加資格の設定の経緯、指名競争入札に係る指名及び落札者決定の経緯等について審議を行うこと。
ハ イ及びロの事務に関し、報告の内容又は審議した公共工事の入札及び契約の理由、指名及び落札者決定の経緯等に不適切な点又は改善すべき点があると認めた場合において、必要な範囲で、各省各庁の長等に対して意見の具申を行うこと。
各省各庁の長等は、第三者機関が公共工事の入札及び契約に関し意見の具申を行ったときは、これを尊重し、その趣旨に沿って入札及び契約の適正化のため必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
第三者機関の設置又は運営については、あらかじめ各省各庁の長等において明確に定め、これを公表するものとする。また、第三者機関の活動状況については、審議に係る議事の概要その他必要な資料を公表することにより透明性を確保するものとする。
第三者機関については、各省各庁の長等が各々設けることを基本とするが、それが必ずしも効率的とは認められない場合もあるので、状況に応じて、規模の小さい市町村や特殊法人等においては第三者機関を共同で設置すること、地方公共団体においては地方自治法(昭和22年法律第67号)第195条に規定する監査委員を活用するなど既存の組織を活用すること等により、適切に方策を講ずるものとする。
この場合においては、既存の組織が公共工事の入札及び契約についての審査その他の事務を適切に行えるよう、必要に応じ組織・運営の見直しを行うものとする。
2 主として入札に参加しようとし、又は契約の相手方になろうとする者の間の公正な競争の促進に関する事項
(1) 公正な競争を促進するための入札及び契約の方法の改善に関すること
公共工事の入札及び契約は、その目的物である社会資本等の整備を的確に行うことのできる施工能力を有する受注者を確実に選定するための手続であり、各省各庁の長等は、公正な競争環境のもとで、良質な社会資本の整備が効率的に行われるよう、公共工事の品質確保の促進に関する法律(平成17年法律第18号。以下「公共工事品質確保法」という。)等に基づき、工事の性格、地域の実情等を踏まえた適切な入札及び契約の方法の選択と、必要な条件整備を行うものとする。
(1)一般競争入札の適切な活用
一般競争入札は、手続の客観性が高く発注者の裁量の余地が少ないこと、手続の透明性が高く第三者による監視が容易であること、入札に参加する可能性のある潜在的な競争参加者の数が多く競争性が高いことから、公共工事の入札及び契約において不正が起きにくいなどの特徴を有している。
一般競争入札は、これらの点で大きなメリットを有しているが、一方で、その運用次第では、個別の入札における競争参加資格の確認に係る事務量が大きいこと、不良・不適格業者の排除が困難であり、施工能力に欠ける者が落札し、公共工事の質の低下をもたらすおそれがあること、建設投資の減少と相まって、受注競争を過度に激化させ、ダンピング受注を招いてきたこと等の側面もある。これまで、一般競争入札は、主として一定規模以上の工事を中心に広く拡大してきたところである。各省各庁の長等においては、こうした一般競争入札の性格及び一般競争入札が原則とされていることを踏まえ、対象工事の見直し等により一般競争入札の適切な活用を図るものとする。
また、指名競争入札については、信頼できる受注者を選定できること、一般競争入札に比して手続が簡易であり早期に契約できること、監督に係る事務を簡素化できること等の利点を有する一方、競争参加者が限定されること、指名が恣意的に行われた場合の弊害も大きいこと等から、指名に係る手続の透明性を高め、公正な競争を促進することが要請される。このため、各省各庁の長等は、引き続き指名競争入札を実施する場合には、公正な競争の促進を図る観点から、指名基準を策定し、及び公表した上で、これに従い適切に指名を行うものとするが、この場合であっても、公共工事ごとに入札参加意欲を確認し、当該公共工事の施工に係る技術的特性等を把握するための簡便な技術資料の提出を求めた上で指名を行う、いわゆる公募型指名競争入札等を積極的に活用するものとする。また、指名業者名の公表時期については、入札前に指名業者名が明らかになると入札参加者間での談合を助長しやすいとの指摘があることを踏まえ、各省各庁の長等は、指名業者名の事後公表の拡大に努めるものとする。
(2)総合評価落札方式の適切な活用等
総合評価落札方式は、公共工事品質確保法に基づき、価格に加え価格以外の要素も総合的に評価して落札者を決定するものであり、価格と品質が総合的に優れた公共調達を行うことができる落札者決定方式である。一方で、総合評価落札方式の実施に当たっては、発注者による競争参加者の施工能力及び技術提案の審査及び評価における透明性及び公正性の確保が特に求められ、さらには発注者及び競争参加者双方の事務量の軽減を図ることも必要である。各省各庁の長等はこうした総合評価落札方式の性格を踏まえ、工事の性格等に応じた適切な活用を図るものとする。
その際には、評価基準や実施要領の整備、総合評価の結果の公表及び具体的な評価内容の通知を行うほか、落札者決定基準等について、小規模な市町村等においては都道府県が委嘱した第三者の共同活用も図りつつ、効率よく学識経験者等の第三者の意見を反映させるための方策を講ずるものとする。また、公共工事品質確保法第16条に基づく段階的選抜方式を活用すること等により、技術提案やその審査及び評価に必要な発注者及び競争参加者双方の事務量の軽減を図るなど、総合評価落札方式の円滑な実施に必要な措置を適切に講じるものとする。
総合評価の評価項目としては、当該工事の施工計画や当該工事に係る技術提案等の評価項目のほか、過去の同種・類似工事の実績及び成績、配置予定技術者の資格及び経験などの競争参加者の施工能力、災害時の迅速な対応等の地域及び工事の特性に応じた評価項目など、当該工事の施工に関係するものであって評価項目として採用することが合理的なものについて、必要に応じて設定することとする。
公共工事を受注する建設業者の技術開発を促進し、併せて公正な競争の確保を図るため、民間の技術力の活用により、品質の確保、コスト縮減等を図ることが可能な場合においては、各省各庁の長等は、入札段階で施工方法等の技術提案を受け付ける入札時VE(バリュー・エンジニアリング)方式、施工段階で施工方法等の技術提案を受け付ける契約後VE方式、入札時に設計案等の技術提案を受け付け、設計と施工を一括して発注する設計・施工一括発注方式等民間の技術提案を受け付ける入札及び契約の方式の活用に努めるものとする。
(3)地域維持型契約方式
建設投資の大幅な減少等に伴い、社会資本等の維持管理のために必要な工事のうち、災害応急対策、除雪、修繕、パトロールなどの地域維持事業を担ってきた地域の建設業者の減少・小規模化が進んでおり、このままでは、事業の円滑かつ的確な実施に必要な体制の確保が困難となり、地域における最低限の維持管理までもが困難となる地域が生じかねない。地域の維持管理は、将来にわたって効率的かつ持続的に行われる必要があり、入札及び契約の方式においても担い手確保に資する工夫が必要である。
このため、地域維持業務に係る経費の積算において、事業の実施に実際に要する経費を適切に費用計上するとともに、地域維持事業の担い手の安定的な確保を図る必要がある場合には、人員や機械等の効率的運用と必要な施工体制の安定的な確保を図る観点から、地域の実情を踏まえつつ、公共工事品質確保法第20条に基づき次のような契約方式を活用するものとする。
1)複数の種類や工区の地域維持事業をまとめた契約単位や、複数年の契約単位とするなど、従来よりも包括的に一の契約の対象とする。
2)実施主体は、迅速かつ確実に現場へアクセスすることが可能な体制を備えた地域精通度の高い建設業者とし、必要に応じ、地域の維持管理に不可欠な事業につき、地域の建設業者が継続的な協業関係を確保することによりその実施体制を安定確保するために結成される建設共同企業体(地域維持型建設共同企業体)や事業協同組合等とする。
(4)一般競争入札及び総合評価落札方式の活用に必要な条件整備
公共工事の入札及び契約の方法、とりわけ一般競争入札の活用に伴う諸問題に対応し、公正かつ適切な競争が行われるようにするため、必要な条件整備を行うものとする。
1)適切な競争参加資格の設定等
競争参加資格の設定は、対象工事について施工能力を有する者を適切に選別し、適正な施工の確保を図るとともに、ペーパーカンパニーや暴力団関係企業等の不良・不適格業者を排除するために行うものとする。
具体的には、いたずらに競争性を低下させることがないように十分配慮しつつ、必要に応じ、工事実績、工事成績、工事経歴書等の企業情報を適切に活用するとともに、競争参加資格審査において一定の資格等級区分に認定されている者であることを求めるものとする。
また、工事の性質等、建設労働者の確保、建設資材の調達等を考慮して地域の建設業者を活用することにより円滑かつ効率的な施工が期待できる工事については、災害応急対策や除雪等を含め、地域の社会資本の維持管理や整備を担う中小・中堅建設業者の育成や経営の安定化、品質の確保、将来における維持・管理を適切に行う観点から、過度に競争性を低下させないように留意しつつ、近隣地域内における工事実績や事業所の所在等を競争参加資格や指名基準とする、いわゆる地域要件の適切な活用を図るなど、必要な競争参加資格を適切に設定するものとする。この際、恣意性を排除した整合的な運用を確保する観点から、あらかじめ運用方針を定めるものとする。なお、総合評価落札方式において、競争参加者に加え、下請業者の地域への精通度、貢献度等についても適切な評価を図るものとする。
このほか、暴力団員が実質的に経営を支配している等の建設業者、指名停止措置等を受けている建設業者、工事に係る設計業務等の受託者と関連のある建設業者等について、これらの者が競争に参加することとならないように競争参加資格を設けるものとする。
さらに、公平で健全な競争環境を構築する観点からは、社会保険等(健康保険、厚生年金保険及び雇用保険をいう。以下同じ。)に加入し、法定福利費を適切に負担する建設業者を確実に契約の相手方とすることが重要である。このため、法令に違反して社会保険等に加入していない建設業者(以下「社会保険等未加入業者」という。)について、公共工事の元請業者から排除するため、定期の競争参加資格審査等で、必要な措置を講ずるものとする。
以上のような競争参加資格の設定に当たっては、政府調達に関する協定(平成7年条約第23号)の対象となる公共工事に係る入札については、供給者が当該入札に係る契約を履行する能力を有していることを確保する上で不可欠な競争参加条件に限定されなければならないこと、及び事業所の所在地に関する要件は設けることはできないことに留意するものとする。なお、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律(昭和41年法律第97号)等に基づき、中小・中堅建設業者の受注機会の確保を図るものとする。
2)入札ボンドの活用その他の条件整備
市場機能の活用により、契約履行能力が著しく劣る建設業者の排除やダンピング受注の抑制等を図るため、入札ボンドの積極的な活用と対象工事の拡大を図るものとする。また、資格審査及び監督・検査の適正化並びにこれらに係る体制の充実、事務量の軽減等を図るものとする。
(5)共同企業体について
共同企業体については、大規模かつ高難度の工事の安定的施工の確保、優良な中小・中堅建設業者の振興など図る上で有効なものであるが、受注機会の配分との誤解を招きかねない場合があること、構成員の規模の格差が大きい場合には施工の効率性を阻害しかねないこと、予備指名制度により談合が誘発されかねないこと等の問題もあることから、各省各庁の長等においては、共同企業体運用基準の策定及び公表を行い、これに基づいて共同企業体を適切に活用するものとする。
共同企業体運用基準においては、共同企業体運用準則(共同企業体の在り方について(昭和62年中建審発第12号)別添第二)に従い、大規模かつ技術的難度の高い工事に係る特定建設工事共同企業体、中小・中堅建設業者の継続的協業関係を確保する経常建設共同企業体、地域維持事業の継続的な担い手となる地域維持型建設共同企業体について適切に定めるものとする。
その際、特定建設工事共同企業体については、大規模かつ技術的難度の高い工事を単独で確実かつ円滑に施工できる有資格業者があるとき等にあっては、適正な競争のための環境整備等の観点から、当該単独の有資格業者も含めて競争が行われることとなるよう努めるものとする。経常建設共同企業体については、継続的協業関係を確保する観点から、一の発注機関における単体企業と当該企業を構成員とする経常建設共同企業体との同時登録は行わないこととするとともに、真に企業合併等に寄与するものを除き経常建設共同企業体への客観点数及び主観点数の加点調整措置は行わないこととする。地域維持型建設共同企業体については、地域の維持管理に不可欠な事業につき、継続的な協業関係を確保することによりその実施体制の安定確保を図る場合に活用することとするとともに、一の発注機関における単体企業と当該企業を構成員とする地域維持型建設共同企業体との同時登録及び同一の構成員を含む経常建設共同企業体と地域維持型建設共同企業体との同時登録は行うことができるものとする。
(6)その他
設備工事等に係る分離発注については、発注者の意向が直接反映され施工の責任や工事に係るコストの明確化が図られる等当該分離発注が合理的と認められる場合において、工事の性質又は種別、発注者の体制、全体の工事のコスト等を考慮し、専門工事業者の育成に資することも踏まえつつ、その活用に努めるものとする。
履行保証については、各省各庁の長等において、談合を助長するおそれ等の問題のある工事完成保証人制度を廃止するとともに、契約保証金、金銭保証人、履行保証保険等の金銭的保証措置と付保割合の高い履行ボンドによる役務的保証措置を適切に選択するものとする。
(2) 入札及び契約の過程に関する苦情を適切に処理する方策に関すること
入札及び契約に関し、透明性を高めるとともに公正な競争を確保するため、各省各庁の長等は、入札及び契約の過程についての苦情に対し適切に説明するとともに、さらに不服のある場合には、その苦情を受け付け、中立・公正に処理する仕組みを整備するものとする。
入札及び契約の過程に関する苦情の処理については、まず各省各庁の長等において行うものとする。具体的には、個別の公共工事に係る一般競争入札の競争参加資格の確認の結果、当該競争参加資格を認められなかった者が、公表された資格を認めなかった理由等を踏まえ、競争参加資格があるとの申出をした場合においては、当該申出の内容を検討し、回答することとする。
指名競争入札において、指名されなかった者が、公表された指名理由等を踏まえ、指名されなかった理由の説明を求めた場合は、その理由を適切に説明するとともに、その者が指名されることが適切であるとの申出をした場合においては、当該申出の内容を検討し、回答することとする。
総合評価落札方式において、落札者とならなかった者が、公表された落札理由等を踏まえ、落札者としなかった理由の説明を求めた場合は、その理由を適切に説明するとともに、その者が落札者となることが適切であるとの申出をした場合においては、当該申出の内容を検討し、回答することとする。
発注者による指名停止措置について、指名停止を受けた者が、公表された指名停止の理由等を踏まえ、当該指名停止措置について不服があるとの申出をした場合においては、当該申出の内容を検討し、回答することとする。
加えて、手続の透明性を一層高めるため、これらの説明等に不服のある場合にさらに苦情を処理できることとすべきであり、必要に応じて各省各庁の長等において第三者機関の活用等中立・公正に苦情処理を行う仕組みを整備するものとする。この場合においては、入札及び契約について審査等を行う入札監視委員会等の第三者機関を活用することが適切である。
苦情処理の対象となる公共工事の範囲については、できる限り幅広くすることが適切であるが、不良・不適格業者による苦情の申出の濫用を排除するため、苦情処理の仕組みの整備の趣旨を踏まえた上で、いたずらに苦情申出の道を狭めることとならないよう配慮しつつ、苦情処理の対象となる工事について限定し、又は手続を簡略化する等の措置を講じても差し支えないものとする。
苦情の申出の窓口、申出ができる者、対象の工事その他苦情の処理手続、体制等については、各省各庁の長等においてあらかじめ明確に定め、これを公表するものとする。
なお、政府調達に関する協定の対象となる公共工事については、別途、苦情処理手続が定められているので、それによるものとする。
3 主として入札及び契約からの談合その他の不正行為の排除の徹底に関する事項
(1) 談合情報等への適切な対応に関すること
法第10条は、各省各庁の長等に対し、入札及び契約に関し、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。以下「独占禁止法」という。)第3条又は第8条第1号の規定に違反する行為があると疑うに足りる事実があるときは、公正取引委員会に通知しなければならないこととしている。これは、不正行為の疑いがある場合に発注者がこれを見過ごすことなく毅然とした対応を行うことによって、発生した不正行為に対する処分の実施を促すとともに、再発の防止を図ろうとするものである。各省各庁の長等は、その職員に対し、法の趣旨の徹底を図り、適切な対応に努めるものとする。その際、例えば、法第13条に基づく入札金額の内訳の確認を行うとともに、入札結果の事後的・統計的分析を活用するなど入札執行時及び入札後の審査内容の充実・改善に努めるものとする。
各省各庁の長等は、法第10条の規定に基づく公正取引委員会への通知義務の適切な実施のために、談合情報を得た場合等の前記違反行為があると疑うに足りる事実があるときの取扱いについてあらかじめ要領を策定し、職員に周知徹底するとともに、これを公表するものとする。要領においては、談合情報を得た場合等の前記違反行為があると疑うに足りる事実があるときにおける内部での連絡・報告手順、公正取引委員会への通知の手順並びに通知の事実及びその内容の開示のあり方、事実関係が確認された場合の入札手続の取扱い(談合情報対応マニュアル)等について定めるものとする。なお、これらの手順を定めるに当たっては、公正取引委員会が行う審査の妨げとならないよう留意するものとする。
(2) 一括下請負等建設業法違反への適切な対応に関すること
法第11条は、各省各庁の長等に対し、入札及び契約に関し、同条第1号又は第2号に該当すると疑うに足りる事実があるときは、建設業許可行政庁等に通知しなければならないこととしている。これは、不正行為の疑いがある場合に発注者がこれを見過ごすことなく毅然とした対応を行うことによって、発生した不正行為に対する処分の実施を促すとともに、再発の防止を図ろうとするものである。建設業許可行政庁等において、建設業法に基づく処分やその公表等を厳正に実施するとともに、各省各庁の長等において、その職員に対し、法の趣旨の徹底を図り、適切な対応に努めるものとする。
各省各庁の長等は、法第11条の規定に基づく建設業許可行政庁等への通知義務の適切な実施のために、現場の施工体制の把握のための要領を策定し、公表するとともに、それに従って点検等を行うほか、一括下請負等建設業法(昭和24年法律第100号)違反の防止の観点から、建設業許可行政庁との情報交換等の連携を図るものとする。
(3) 不正行為の排除のための捜査機関等との連携に関すること
入札及び契約に関する不正行為に関しては、法第10条及び第11条に定めるもののほか、各省各庁の長等は、その内容に応じて警察本部その他の機関に通知するなどの連携を確保するものとする。
(4) 不正行為が起きた場合の厳正な対応に関すること
公共工事の入札及び契約に関する談合や贈収賄、一括下請負といった不正行為については、刑法(明治40年法律第45号)、独占禁止法、建設業法等において、罰則や行政処分が定められている。建設業許可行政庁等において、建設業法に基づく処分やその公表等を厳正に実施することと併せて、各省各庁の長等による指名停止についても、公共工事の適正な執行を確保するとともに、不正行為に対する発注者の毅然とした姿勢を明確にし、再発防止を図る観点から厳正に運用するものとする。
特に、大規模・組織的な談合であって悪質性が際立っている場合において、その態様に応じた厳格な指名停止措置を講ずるものとする。また、独占禁止法違反行為に対する指名停止に当たり、課徴金減免制度の適用があるときは、これを考慮した措置に努めるものとする。
指名停止については、その恣意性を排除し客観的な実施を担保するため、各省各庁の長等は、あらかじめ、指名停止基準を策定し、これを公表するものとする。また、当該基準については、原因事由の悪質さの程度や情状、結果の重大性などに応じて適切な期間が設定されるよう、必要に応じ、適宜見直すものとする。指名停止を行った場合においては、当該指名停止を受けた者の商号又は名称、指名停止の期間及び理由等の必要な事項を公表するものとする。なお、未だ指名停止措置要件には該当していないにもかかわらず、指名停止措置要件に該当する疑いがあるという判断のみをもって事実上の指名回避を行わないようにするものとする。また、予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)に基づき、競争参加資格を取り消し、一定の期間これを付与しないことについても、談合等の不正行為の再発防止を徹底する観点から、できる限り行うよう努めるものとする。
入札談合については、談合の再発防止を図る観点から、各省各庁の長等は、談合があった場合における請負者の賠償金支払い義務を請負契約締結時に併せて特約すること(違約金特約条項)等により、その不正行為の結果として被った損害額の賠償の請求に努めるものとする。なお、この違約金特約条項の設定に当たっては、裁判例等を基準として、合理的な根拠に基づく適切な金額を定めなければならないことに留意する。
(5) 談合に対する発注者の関与の防止に関すること
公共工事は、国民の税金を原資として行われるものであることから、とりわけ公共工事の入札及び契約の事務に携わる職員が談合に関与することはあってはならないことであり、各省各庁の長等は、入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律(平成14年法律第101号)を踏まえ、発注者が関与する談合の排除及び防止に取り組むものとする。
併せて、各省各庁の長等は、法及び適正化指針に基づく入札及び契約の手続の透明性を向上させることや、情報管理を徹底すること、予定価格の作成時期を入札書の提出後とするなど外部から入札関係職員に対する不当な働きかけ又は口利き行為が発生しにくい入札契約手続やこれらの行為があった場合の記録・報告・公表の制度を導入すること等により不正行為の発生しにくい環境の整備を進めるものとする。併せて、その職員に対し、公共工事の入札及び契約に関する法令等に関する知識を習得させるための教育、研修等を適切に行うものとする。
また、刑法又は独占禁止法に違反する行為については、発注する側も共犯として処罰され得るものであることから、各省各庁の長等は、警察本部、公正取引委員会等との連携の下に、不正行為の発生に際しては、厳正に対処するものとする。
4 主としてその請負代金の額によっては公共工事の適正な施工が通常見込まれない契約の締結の防止に関する事項
(1) 適正な予定価格の設定に関すること
ダンピング受注は、工事の手抜き、下請業者へのしわ寄せ、公共工事に従事する者の賃金その他の労働条件の悪化、安全対策の不徹底等につながりやすく、ひいては建設業の若年入職者の減少の原因となるなど、建設工事の担い手の育成及び確保を困難とし、建設業の健全な発達を阻害するものであることから、これを防止するとともに、適正な金額で契約を締結することが必要である。そのためには、まず、予定価格が適正に設定される必要がある。このため、予定価格の設定に当たっては、適切に作成された仕様書及び設計書に基づき、経済社会情勢の変化を勘案し、市場における労務及び資材等の最新の実勢価格を適切に反映させつつ、実際の施工に要する通常妥当な経費について適正な積算を行うものとする。また、この適正な積算に基づく設計書金額の一部を控除するいわゆる歩切りについては、公共工事品質確保法第7条第1項第1号の規定に違反すること、予定価格が予算決算及び会計令や財務規則等により取引の実例価格等を考慮して定められるべきものとされていること、公共工事の品質や工事の安全の確保に支障を来すとともに、建設業の健全な発達を阻害するおそれがあることから、これを行わないものとする。
(2) 入札金額の内訳書の提出に関すること
公共工事の入札に際しては、見積能力のないような不良・不適格業者の参入を排除し、併せて談合等の不正行為やダンピング受注の防止を図る観点から、各省各庁の長等は、法第12条に基づき、入札に参加しようとする者に対して、対象となる工事に係る入札金額と併せてその内訳を提出させるものとする。
また、各省各庁の長等は、談合等の不正行為やダンピング受注が疑われる場合には、法第13条に基づき、入札金額の内訳を適切に確認するものとする。
(3) 低入札価格調査制度及び最低制限価格制度の活用に関すること
各省各庁の長等においては、低入札価格調査制度又は最低制限価格制度の適切な活用を徹底することにより、ダンピング受注の排除を図るものとする。この場合、政府調達に関する協定の対象工事については最低制限価格制度は活用できないこととされていることに留意するものとする。
低入札価格調査制度は、入札の結果、契約の相手方となるべき者の申込みの価格によっては、その者により契約の内容に適合した履行がされないこととなるおそれがあると認められる場合において、そのおそれがあるかどうかについて調査を行うものである。その実施に当たっては、入札参加者の企業努力によるより低い価格での落札の促進と公共工事の品質の確保の徹底の観点から、当該調査に加え、受注者として不可避な費用をもとに、落札率(予定価格に対する契約価格の割合)と工事成績との関係についての調査実績等も踏まえて、適宜、調査基準価格を見直すとともに、あらかじめ設定した調査基準価格を下回った金額で入札した者に対して、法第12条に基づき提出された内訳書を活用しながら、次に掲げる事項等の調査を適切に行うこと、一定の価格を下回る入札を失格とする価格による失格基準を積極的に導入・活用するとともに、その価格水準を低入札価格調査の基準価格に近づけ、これによって適正な施工への懸念がある建設業者を適切に排除することなどにより、制度の実効を確保するものとする。
イ 当該入札価格で入札した理由は何か
ロ 当該入札価格で対象となる公共工事の適切な施工が可能か
ハ 設計図書で定めている仕様及び数量となっていること、契約内容に適合した履行の確保の観点から、資材単価、労務単価、下請代金の設定が不適切なものでないこと、安全対策が十分であること等見積書又は内訳書の内容に問題はないか
ニ 手持工事の状況等からみて技術者が適正に配置されることとなるか
ホ 手持資材の状況、手持機械の状況等は適切か
ヘ 労働者の確保計画及び配置予定は適切か
ト 建設副産物の搬出予定は適切か
チ 過去に施工した公共工事は適切に行われたか、特に、過去にも低入札価格調査基準価格を下回る価格で受注した工事がある場合、当該工事が適切に施工されたか
リ 経営状況、信用状況に問題はないか
また、各省各庁の長等は、低入札価格調査の基準価格を下回る価格により落札した者と契約を締結したときは、重点的な監督・検査等により適正な施工の確保を図るとともに、下請業者へのしわ寄せ、労働条件の悪化、工事の安全性の低下等の防止の観点から建設業許可行政庁が行う下請企業を含めた建設業者への立入調査との連携を図るものとする。さらに、適正な施工への懸念が認められる場合等には、配置技術者の増員の義務付け、履行保証割合の引き上げ等の措置を積極的に進めるものとする。
これらの低入札価格調査制度については、調査基準価格の設定、調査の内容、監督及び検査の強化等の手続の流れやその具体的内容についての要領をあらかじめ作成し、これを公表するとともに、低入札価格調査を実施した工事に係る調査結果の概要を原則として公表するなど、透明性、公正性の確保に努めるものとする。
(4) 入札契約手続における発注者・受注者間の対等性の確保に関すること
不採算工事の受注強制などは建設業法第19条の3に違反するおそれがあり、行ってはならない行為であり、入札辞退の自由の確保等受注者との対等な関係の確立に努めるものとする。
(5) 低入札価格調査の基準価格等の公表時期に関すること
低入札価格調査の基準価格及び最低制限価格を定めた場合における当該価格については、これを入札前に公表すると、当該価格近傍へ入札が誘導されるとともに、入札価格が同額の入札者間のくじ引きによる落札等が増加する結果、適切な積算を行わずに入札を行った建設業者が受注する事態が生じるなど、建設業者の真の技術力・経営力による競争を損ねる弊害が生じうることから、入札の前には公表しないものとする。
予定価格については、入札前に公表すると、予定価格が目安となって競争が制限され、落札価格が高止まりになること、建設業者の見積努力を損なわせること、入札談合が容易に行われる可能性があること、低入札価格調査の基準価格又は最低制限価格を強く類推させ、これらを入札前に公表した場合と同様の弊害が生じかねないこと等の問題があることから、入札の前には公表しないものとする。なお、地方公共団体においては、予定価格の事前公表を禁止する法令の規定はないが、事前公表の実施の適否について十分検討した上で、上記弊害が生じることがないよう取り扱うものとし、弊害が生じた場合には、速やかに事前公表の取りやめを含む適切な対応を行うものとする。
なお、入札前に入札関係職員から予定価格、低入札価格調査の基準価格又は最低制限価格を聞き出して入札の公正を害そうとする不正行為を抑止するため、談合等に対する発注者の関与の排除措置を徹底するものとする。
5 主として契約された公共工事の適正な施工の確保に関する事項
(1) 将来におけるより適切な入札及び契約のための公共工事の施工状況の評価の方策に関すること
各省各庁の長等は、契約の適正な履行の確保、給付の完了の確認に加えて、受注者の適正な選定の確保を図るため、その発注に係る公共工事について、原則として技術検査や工事の施工状況の評価(工事成績評定)を行うものとする。技術検査に当たっては、工事の施工状況の確認を充実させ、施工の節目において適切に実施し、技術検査の結果を工事成績評定に反映させるものとする。工事成績評定に当たっては、公共工事の品質を確保する観点から、施工段階での手抜きや粗雑工事に対して厳正に対応するとともに、受注者がその技術力をいかして施工を効率的に行った場合等については積極的な評価を行うものとする。
工事成績評定が、評価を行う者によって大きな差を生じることがないよう、各省各庁の長等は、あらかじめ工事成績評定について要領を定め、評価を行う者に徹底するとともに、これを公表するものとする。また、工事成績評定の結果については、工事を行った受注者に対して通知するとともに、原則として公表するものとする。さらに、工事成績評定の結果を発注者間において相互利用できるようにするため、可能な限り発注者間で工事成績評定の標準化に努めるものとする。
工事成績評定に対して苦情の申出があったときは、各省各庁の長等は、苦情の申出を行った者に対して適切な説明をするとともに、さらに不服のある者については、第三者機関に対してさらに苦情申出ができることとする等他の入札及び契約の過程に関するものと同様の苦情処理の仕組みを整備することとする。
なお、工事成績評定を行う公共工事の範囲については、評定の必要性と評定に伴う事務負担等を勘案しつつ、できる限りその対象を拡げるものとする。
(2) 適正な施工を確保するための発注者・受注者間の対等性の確保に関すること
公共工事の適正な施工を確保するためには、発注者と受注者が対等な関係に立ち、責任関係を明確化していくことが重要であることから、現場の問題発生に対する迅速な対応を図るとともに、発注者、設計者及び施工者の三者間の情報共有等の取組を推進するものとする。
また、設計図書に示された施工条件と実際の工事現場の状態が一致しない場合、設計図書に示されていない施工条件について予期することができない特別な状態が生じた場合その他の場合において必要があると認められるときは、適切に設計図書の変更を行うものとする。さらに、工事内容の変更等が必要となり、工事費用や工期に変動が生じた場合には、施工に必要な費用や工期が適切に確保されるよう、公共工事標準請負契約約款(昭和25年2月21日中央建設業審議会決定・勧告)に沿った契約約款に基づき、必要な変更契約を適切に締結するものとする。
なお、追加工事又は変更工事が発生したにもかかわらず書面による変更契約を行わないことや、受注者に帰責事由がないにもかかわらず追加工事等に要する費用を受注者に一方的に負担させることは、建設業法第19条第2項又は第19条の3に違反するおそれがあるため、これを行わないものとする。
契約変更手続の透明・公正性の向上及び迅速化のため、関係者が一堂に会して契約変更の妥当性等の審議を行う場(設計変更審査会等)の設置・活用を図るものとする。
(3) 施工体制の把握の徹底等に関すること
公共工事の品質を確保し、目的物の整備が的確に行われるようにするためには、工事の施工段階において契約の適正な履行を確保するための監督及び検査を確実に行うことが重要である。特に、監督業務については、監理技術者の専任制等の把握の徹底を図るほか、現場の施工体制が不適切な事案に対しては統一的な対応を行い、その発生を防止し、適正な施工体制の確保が図られるようにすることが重要である。
このため、各省各庁の長等は、監督及び検査についての基準を策定し、公表するとともに、現場の施工体制の把握を徹底するため、次に掲げる事項等を内容とする要領の策定等により統一的な監督の実施に努めるものとする。
イ 現場施工に着手するまでの期間や工事の完成後、検査が終了し、事務手続、後片付け等のみが残っている期間など監理技術者を専任で置く必要がない期間を除き、監理技術者の専任制を徹底するため、工事施工前における監理技術者資格者証の確認及び監理技術者の本人確認並びに工事施工中における監理技術者が専任で置かれていることの点検を行うこと。
ロ 現場の施工体制の把握のため、工事施工中における法第15条第2項の規定により提出された施工体制台帳及び同条第1項の規定により掲示される施工体系図に基づき点検を行うこと。
ハ その他元請業者の適切な施工体制の確保のため、工事着手前における工事実績を記入した工事カルテの登録の確認、工事施工中の建設業許可を示す標識の掲示、労災保険関係成立票の掲示、建設業退職金共済制度の適用を受ける事業主に係る工事現場であることを示す標識の掲示等の確認を行うこと。
公共工事の適正な施工を確保するためには、元請業者だけではなく、下請業者についても適正な施工体制が確保されていることが重要である。このため、各省各庁の長等においては、施工体制台帳に基づく点検等により、元請下請を含めた全体の施工体制を把握し、必要に応じ元請業者に対して適切な指導を行うものとする。なお、施工体制台帳は、建設工事の適正な施工を確保するために作成されるものであり、公共工事については、法第15条第1項及び第2項により、下請契約を締結する全ての工事について、その作成及び発注者への写しの提出が義務付けられたところである。各省各庁の長等は、施工体制台帳の作成及び提出を求めるとともに、粗雑工事の誘発を生ずるおそれがある場合等工事の適正な施工を確保するために必要な場合にこれを適切に活用するものとする。
6 その他入札及び契約の適正化に関し配慮すべき事項
(1) 不良・不適格業者の排除に関すること
不良・不適格業者とは、一般的に、技術力、施工能力を全く有しないいわゆるペーパーカンパニー、経営を暴力団が支配している企業、対象工事の規模や必要とされる技術力からみて適切な施工が行い得ない企業、過大受注により適切な施工が行えない企業、建設業法その他工事に関する諸法令(社会保険等に関する法令を含む。)を遵守しない企業等を指すものであるが、このような不良・不適格業者を放置することは、適正かつ公正な競争を妨げ、公共工事の品質確保、適正な費用による施工等の支障になるだけでなく、技術力・経営力を向上させようとする優良な建設業者の意欲を削ぎ、ひいては建設業の健全な発達を阻害することとなる。
また、建設業許可や経営事項審査の申請に係る虚偽記載を始めとする公共工事の入札及び契約に関する様々な不正行為は、主としてこうした不良・不適格業者によるものである。
このため、建設業許可行政庁等においては、建設業法に基づく処分やその公表等を厳正に実施し、また、各省各庁の長等においては、それらの排除の徹底を図るため、公共工事の入札及び契約に当たり、次に掲げる措置等を講ずるとともに、建設業許可行政庁等に対して処分の実施等の厳正な対応を求めるものとする。
イ 一般競争入札や公募型指名競争入札等における入札参加者の選定及び落札者の決定に当たって、発注者支援データベースの活用等により、入札参加者又は落札者が配置を予定している監理技術者が現場で専任できるかどうかを確認すること。
ロ 工事の施工に当たって、発注者支援データベースの活用のほか、法第15条第2項の規定に基づく施工体制台帳の提出、同条第1項の規定に基づく施工体系図の掲示を確実に行わせるとともに、工事着手前に監理技術者資格者証の確認を行うこと。
ハ 工事現場への立入点検により、監理技術者の専任の状況や施工体制台帳、施工体系図が工事現場の実際の施工体制に合致しているかどうか等の点検を行うこと。
ニ 検査に当たって、監理技術者の配置等に疑義が生じた場合は、適正な施工が行われたかどうかの確認をより一層徹底すること。
ホ 経営を暴力団が支配している企業等の暴力団関係企業が公共工事から的確に排除されるよう、各省各庁の長等は、警察本部との緊密な連携の下に十分な情報交換等を行うよう努めるものとする。
また、暴力団員等による公共工事への不当介入があった場合における警察本部及び発注者への通報・報告等を徹底するとともに、公共工事標準請負契約約款に沿った暴力団排除条項の整備・活用により、その排除の徹底を図るものとする。
ヘ 社会保険等未加入業者については、前述のとおり、定期の競争参加資格審査等により元請業者から排除するほか、元請業者に対し社会保険等未加入業者との契約締結を禁止することや、社会保険等未加入業者を確認した際に建設業許可行政庁又は社会保険等担当部局へ通報すること等の措置を講ずることにより、下請業者も含めてその排除を図るものとする。
(2) 入札及び契約のIT化の推進等に関すること
入札及び契約のIT化については、図面や各種情報の電子化、通信ネットワークを利用した情報の共有化、電子入札システム等の導入により、各種情報が効率的に交換できるようになり、また、ペーパーレス化が進むことから、事務の簡素化や入札に係る費用の縮減が期待される。さらに、インターネット上で、一元的に発注の見通しに係る情報、入札公告、入札説明書等の情報を取得できるようにすることにより、競争参加資格を有する者が公共工事の入札に参加しやすくなり、競争性が高まることも期待される。また、これらに加え、電子入札システムの導入は、入札参加者が一堂に会する機会を減少させることから、談合等の不正行為の防止にも一定の効果が期待される。
このため、各省各庁の長等においては、政府調達に関する協定との整合を図りつつ、必要なシステムの整備等に取り組み、その具体化を推進するものとする。なお、入札及び契約に関する情報の公表の際には、入札及び契約に係る透明性の向上を図る観点から、インターネットの活用を積極的に図るものとする。
IT化の推進と併せ、各省各庁の長等は、事務の簡素合理化を図るとともに、入札に参加しようとする者の負担を軽減し、競争性を高める観点から、できるだけ、入札及び契約に関する書類、図面等の簡素化・統一化を図るとともに、競争参加者の資格審査などの入札及び契約の手続の統一化に努めるものとする。
(3) 各省各庁の長等相互の連絡、協調体制の強化に関すること
公共工事の受注者の選定に当たっては、当該企業の過去の工事実績に関する情報や保有する技術者に関する情報、施工状況の評価に関する情報等各発注者が保有する具体的な情報を相互に交換することにより、不良・不適格業者を排除し、より適切な受注者の選定が可能となる。また、現場における適正な施工体制の確保の観点から行う点検や指名停止等の措置を行うに際しては、発注者相互が協調してこれらの措置を実施することにより、より高い効果が期待できる。さらに、最新の施工技術に関する情報等について、発注者間で相互に情報交換を行うことにより、技術力によるより公正な競争の促進と併せ適正な施工の確保が期待できる。したがって、各省各庁の長等は、入札及び契約の適正化を図る観点から、相互の連絡、協調体制の一層の強化に努めるものとする。
(4) 企業選定のための情報サービスの活用に関すること
発注者支援データベースは、技術と経営に優れた企業を選定するとともに、専任技術者の設置や一括下請負の禁止等に係る違反行為を抑止し、不良・不適格業者の排除を徹底するため効果の高い手段としてその重要性が増していることから、各省各庁の長等は、積極的にその活用を進めるものとする。
また、建設業許可行政庁の保有する工事経歴書や処分履歴等の企業情報の活用も、工事の施工に適した企業の選定や不良・不適格業者の排除のための方策となりうることから、建設業許可行政庁は、その利用環境の向上を図り、各省各庁の長等は、必要に応じ適切に活用するものとする。
第3 適正化指針の具体化に当たっての留意事項
1 特殊法人等及び地方公共団体の自主性の配慮
法第17条第3項は、適正化指針の策定に当たっては、特殊法人等及び地方公共団体の自主性に配慮しなければならないものとしている。これは、国、特殊法人等及び地方公共団体といった公共工事の発注者には、発注する公共工事の量及び内容、発注者の体制等に大きな差があり、また、従来からそれぞれの発注者の判断により多様な発注形態がとられてきたことにかんがみ、適正化指針においても、こうした発注者の多様性に配慮するよう求めたものである。
一方、公共工事の入札及び契約の適正化は、各省各庁の長等を通じて統一的、整合的に行われることによって初めて公共工事に対する国民の信頼を確保するとともに建設業の健全な発達を図るという効果を上げ得るものであることから、できる限り足並みをそろえた取組が行われることが重要であり、各省各庁の長等ごとに、その置かれている状況等に応じた取組の差異が残ることはあっても、全体としては着実に適正化指針に従った措置が講じられる必要がある。
2 業務執行体制の整備
法及び適正化指針に従って公共工事の入札及び契約の適正化を促進するためには、発注に係る業務執行体制の整備が重要である。このため、各省各庁の長等においては、入札及び契約の手続の簡素化・合理化に努めるとともに、必要に応じ、CM(コンストラクション・マネジメント)方式の活用・拡大等によって業務執行体制の見直し、充実等を行う必要がある。特に、小規模な市町村等においては、技術者が不足していることも少なくなく、発注関係事務を適切に実施できるようにこれを補完・支援する体制の整備が必要である。このため、国及び都道府県の協力・支援も得ながら技術者の養成に積極的に取り組むとともに、事業団等の受託制度や外部機関の活用等を積極的に進めることが必要である。また、国及び都道府県は、このような市町村等の取り組みが進むよう協力・支援を積極的に行うよう努めるものとする。